近年、多くの企業が顧客体験(CX)の向上を経営の重要課題として掲げています。CXの向上には、従業員のマインドセットを革新し、CXマインドを組織文化として浸透させる必要があります。CXマインドとは、企業が顧客中心の視点を持ち、提供する製品やサービスを通じて価値を最大化することを目指す考え方です。これにより、顧客満足度の向上だけでなく、企業の収益やブランド力の強化にもつながります。また、CXマインドの取り組みは、顧客満足度の向上だけでなく、従業員のモチベーションにも大きな影響を与えることが明らかになっています。*「企業経営におけるKPIの位置付けと社員の認識に関する調査」(株式会社プレイド、2018年実施)*によると、企業の商品企画、マーケティング、営業に携わるビジネスパーソン1,034名のうち、約8割が「顧客への提供価値の最大化」を業務の目標とする企業の事業成長を実感していると回答しています。では、CXマインドがどのように従業員の意識を高め、企業の成長につながるのかを探ります。1. 目標設定とモチベーションの関係目標管理の方法によって、従業員のモチベーションには大きな違いが生じます。目標達成が事業成長に直結していると実感できる場合、従業員は高いモチベーションを持って業務に取り組みます。また、これが自身の評価制度に組み込まれている場合、成果を出そうとする意識が高まります。一方で、数値目標のみを追い求める環境では、達成が困難な場合に意欲が低下し、業務に対するやりがいを見出しにくくなります。この点について、「企業経営におけるKPIの位置付けと社員の認識に関する調査」では、目標として「売上貢献」や「利益拡大」よりも「顧客にとっての価値向上」が重要であると考える社員の割合が圧倒的に高いことが示されています。また、CXマインドを持つ組織では、単なる数値目標だけでなく、「顧客価値をどれだけ向上させられるか」に焦点を当てた目標設定が行われます。これにより、従業員が仕事の意義を実感しやすくなり、モチベーションの向上につながります。2. 理想的な目標とは多くの従業員が、事業成長における目標設定において、単なる売上や利益の拡大よりも、「顧客にとっての価値向上」が最も重要であると考えています。事業計画からブレイクダウンされた数値目標よりも、顧客価値を軸にした目標設定が、従業員のモチベーションを高める要因となります。売上を上げるためではなく、顧客にとって価値あるサービスを提供することを目標に据えることが、結果として事業成長につながるという考え方が広がっています。まとめ組織にCXマインドを浸透させることで、顧客体験価値の向上だけでなく、従業員が誇りを持って働ける環境が整います。また、EX(従業員体験)とは、従業員が働くことを通じて得られる体験価値を指します。CXとEXは事業成長の車輪のような関係であり、米MITの調査によると、EXの高い企業はイノベーション、顧客満足度、収益性において競合他社よりも優れているという結果が報告されています。EXのスコアが上位 4 分の 1 に入った企業は、下位 4 分の 1 に入った企業よりも 2 倍以上の成果を上げていました。これらの企業は、従業員が新しい方法で顧客と関わり、収益源を強化するための道を開いていました。今後、企業が持続的な成長を実現するためには、CXマインドを経営戦略に組み込み、目標設定のあり方を見直すことが不可欠です。【出典】「企業経営におけるKPIの位置付けと社員の認識に関する調査」(株式会社プレイド、2018年12月12日〜12月14日実施) https://cisr.mit.edu/publication/20170601EmployeeExperience_DerySebastian